会社が運転資金を得るための方法の1つに「資金調達」があります。しかし、具体的な方法が分からない方も多いのではないでしょうか。本記事では、資金調達の方法やメリット・デメリットについて解説します。

資金調達の目的とは

運転資金を調達する方法の1つに「資金調達」があります。この資金調達の目的は、大きく4つに分けられます。

開業資金

開業資金は、事業を始めるための準備資金や機械、什器、オフィス用品などの設備機器を購入するための資金です。また、設立登記の費用や取引のための保証金、当面の運転資金なども含まれています。必要な金額は事業内容や規模で大きく異なります。

運転資金

事業を続けるために必要な資金です。材料や商品の仕入れ、人件費、家賃、通信費、光熱費、備品費など幅広い資金が含まれます。こうした費用は事業による収入によって賄いますが、収入と支出にはタイムラグが生じることが多い傾向にあります。このため、事業が軌道に乗るまでは、運転資金にある程度の余裕を持たせる必要があるでしょう。売掛金の回収が長引いている場合などは、資金需要が増えやすいとされています。

設備投資資金

新規で設備を購入したり、老朽化などによって設備を更新したりする際に必要な資金のことです。事業で使用する不動産や機械、システムなどさまざまなものが挙げられますが、事業の維持や拡大を行うための設備投資となります。事業計画が必要ですが、成長を見込んでの資金になります。

事業拡大資金

事業の拡大や多角化を図る際に必要となる資金です。事業を拡大する際には、人員増強やコンサルタントの雇用など、設備以外のコストも必要となります。事業が軌道に乗れば、それに伴った収入を望めますが、収支にはタイムラグが出てしまいます。コストが増える分、資金需要も大きくなるため、事業拡大資金として調達される場合もあります。

資金調達方法の種類とメリット・デメリット

資金調達方法には主に3つあります。それが「デットファイナンス」「エクイティファイナンス」「アセットファイナンス」の3つです。ここではそれぞれの方法の特徴についてご紹介します。

デットファイナンス

デットファイナンスは、「負債を増やす」という資金調達方法になります。主な手法には以下が挙げられます。

・金融機関からの融資

・自治体からの融資

・ビジネスローンの利用

・社債の発行

デットファイナンスは資金調達候補先が豊富なのが特徴です。また利息による節税効果やレバレッジ効果が期待できます。

デメリットとしては、利息を含む返済義務が発生する点です。また、自己資本比率が下がるため、信用力が低下する可能性もあります。

エクイティファイナンス

エクイティファイナンスは、資本を増やす方法です。主に株式発行や交付によって出資してもらうことで、資金調達を行います。主な手法には以下が挙げられます。

・ベンチャーキャピタルからの出資

・コーポレートベンチャーキャピタルや事業者からの出資

・個人投資家からの出資

・公募増資

エクイティファイナンスは、調達した資金の返済義務が発生しません。また、財務基盤が安定し、ベンチャーキャピタルや個人投資家から経営に関するアドバイスを貰える可能性もあります。

デメリットとして、配当金を支払う義務が発生し、会社の経営権を握られる可能性があることが挙げられます。

アセットファイナンス

アセットファイナンスは、自社の資産の売却または資産を担保にする方法です。不動産を売却したり、売掛金を先に現金化したりする方法があり、以下の内容が主となります。

・ファクタリング

・手形割引

・リースバック

・固定資産の売却

・M＆A

アセットファイナンスは、借入と違い返済の必要がありません。また、保有資産の信用力が重視されるので、業績が悪化している場合でも資金調達がしやすいでしょう。

ただし、資産の信用度が重視される点はデメリットにもなります。資産の価値や信用度が低いと、想定した資金を調達できない可能性もあります。また、断られるケースもあるでしょう。

資金調達の際のポイント

資金調達にはさまざまな方法がありますが、注意したいポイントもあります。

資金の使用用途や金額をはっきりさせる

自社が「何のために」「どのくらい」運転資金が必要か明確にしておきましょう。たとえば、「売上を増加させるために必要な設備を500万円で購入する」などです。特に、「何のために」は重要な部分です。

事業内容や経営戦略で信用を得る

投資家は信頼できる銘柄の株式を欲しがるものです。特に、増資によって資金調達を行いたいのであれば、株式に信用が必要です。魅力的な事業内容を提案し、経営戦略を明確にすれば、対外的に信用を得ることができるでしょう。

会社規模に適した金融機関を選択する

資金調達は、会社規模に適した金融機関を選択することが大切です。設備投資ではない場合、年商1億円の企業に、5億円の資金調達は不要といえるでしょう。身の丈に合った金融機関の選択が必要といえます。

資金調達について理解しよう

資金調達方法には、主に「デットファイナンス」「エクイティファイナンス」「アセットファイナンス」の3つがあります。それぞれメリットとデメリットがありますので、目的やタイミングに合わせた方法を選ぶことをおすすめします。また、使用用途や金額をはっきりさせることも大切です。

参考サイト

https://the-owner.jp/archives/11677

https://biz.moneyforward.com/establish/basic/44/#i-10

https://macloud.jp/media/know-how/19483

https://shikin.yayoi-kk.co.jp/study/financing/type.html